Tour Blanche

高円寺デザイナー賃貸住宅 Tour Blanche

ヨーロッパ田舎建築の第一人者丸山保博設計士とコラボしています。老朽化した自宅を、賃貸併用住宅として建替えました。

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内覧動画

建物外観動画

計画概要

Tour Blanche トゥールブランシュ (白い塔)
平成25年(2013年)3月完成 RC造 2K×10世帯
東京都中野区大和町3-20-8
設計:丸山保博建築研究所 東京都杉並区高円寺北3-9-6
施工:共立工業株式会社 東京都板橋区板橋2-30-1

設計図面

平面図
高円寺トゥールブランシュ:平面図
北側立面図
高円寺トゥールブランシュ:北側立面図
東側立面図
高円寺トゥールブランシュ:東側立面図
案内図

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高円寺トゥールブランシュでの当社の社員研修の動画

ヨーロッパ田舎建築の丸山保博先生と対談させていただきました。

丸山保博設計士 2004年杉並まちデザイン賞、2008年2009年日本漆喰協会作品賞受賞

対談動画

対談全文
大川
このドアノブはおしゃれですよね。 それでいて不便じゃない。

丸山
そうそう。 意外と、おしゃれだけど実用的にしてあるんだよね。

大川
どうしてもこの形でやりたかったんですか。

丸山
やりたかったね。

大川
これ自分でつくったんですか? 

丸山
そうそう自分で針金の芯いれて、石膏でイメージ化して・・・。

大川
丸山さんの物件っていま全部このドアノブですか?

丸山
いやまあ全部っていうわけにはいかないね。 やっぱりオーナーさんの理解も必要だし。
いや普通のでいいですよっていう方が多い。
でも、僕の建物を好きになってくれる人は、「是非お願いします。」っていってくれるんです。普通のもので、人がはいってくれればいいた人もいます。
今回のお施主様は足場がとれて、塔が見れた時にメールが届きました。「素晴らしいです。お見事です。」ってことが書いてあって、とても嬉しかったですね。

大川
引渡し時にほぼ満室でした。

丸山
あれはねー。大変だったとおもう。あんなに遅れたでしょ。海のものとも山のものとも分からない状態でよく決めてくれました。

大川
遅れるのだけは勘弁してほしかったですね。できてからはいい物件なので早かったですけど、期間がながかったから大変でした。

丸山
それに最後の外構もできなかったじゃ無いですか、花とか。 あれ結構重要なんですよ。
それがない状態で、見事に、しかも四月に引き渡してからも一件はいったわけでしょ。
うまく言えないけど、あの状態で満室にしたのは、かなりの努力した成果と思います。

大川
やりかたもあったかもしれませんけど、やはり丸山さんの物件が魅力的だったのかな。 そもそもそれがないと決まりませんからね。どんなやり方をしても。

丸山
まあ、そうかもしれませんけど、やっぱり出来た物があるのとは違うでしょう。お互いの持ち場、持ち場で、相互理解みたいなものがあって。そうゆう意味ではチームになっていたのかなと。色々ありましたけど。

大川
確かに色々ありました。でも、結果的にすごくいいものができました。まあ、すごくいいものでも高かったら借りないし、すごく安くても変なものだったら借りない。そこが上手くいったんじゃないかと。

丸山
お金だけじゃないですからね。

大川
お施主さんも本当喜んで頂けました。施工会社さんも、本当すごくやってくれて。大きな会社が高い見積もりを提出しててきたのを丸山さんが頼み込んで安くしてもらって。

丸山
あの時期は、地震の影響もあって、いまでもニュースやってるけど、職人さんが少なくて、大分、現場の状況が前にくらべて厳しいっていうか。
そんな中であれだけの人を動かしてっていうのは、そんなに余裕ある仕事ではなかったと思いますね。
そうゆう意味じゃほっとしました。 やる前から入札の値段もあわなあかったことも含めて、そうゆう状況だというのはわかったので、完成までに一苦労あるなとはおもっていました。

大川
入り口の収支計画から建築の所まで、いろいろな人が携わって・・・。

丸山
まあ、私がいうのもなんだけど、収支計画っていうのは、私得意じゃないんですよ。
いい建物をつくるにしても、取り巻きというか周りの環境を整えないといいものはできない。それを一手に、大川さんが全部やってくれたのは大きいと思います。あれがなかったら、もしかしたら建っていなかったかもしれません。

大川
お施主さんが言ったことで印象に残ったのが、全部お任せでやるんだったらハウスメーカーだったと思うけど、本当に自分の気に入ったものを作りたいと思ったら、設計師さんと打ち合わせしながらやるのがいいよねと仰っていました。

丸山
そうですか、ということはちょっと遅れたことも免罪符で。

大川
それは、免罪符もなにも、遅れちゃってますし、駄目じゃないですか。
僕はハウスメーカーさんとも仕事しますし、こういう言い方はよくないんですけど、手作りの良さっていうのはありますよね。

丸山
そう手作りっていうのはね、うまくいくと300%も400%も人に感動を与えられるものができますけど、下手するとゲテモノしかできなくなっちゃうのね。
普通の標準以下のものしかできないから、そういう意味ですごく怖いんですよね。
やっぱり愛情をどれだけそそぐかってことで、手作りの良さが決まると思いますね。

大川
今回、みんなプロフェッショナルの方があつまって、お施主さんも人格的に素晴らしい方だったので、いい仕事になってよかったですね。

丸山
そうですね、やっぱりご理解を相当していだだけましたよね。

大川
それが、引渡しとほぼ同時に、ほぼ満室という結果になって、本当によかったです。

丸山
今でも、もし空き室があるという結果でしたら、本当こんな話もできないでしょうし。
なかなか難しいところがありますよね。やっぱり、そういう意味では、あいうものが世の中に存在する以上は、あくまで商品としてしてか存在できないっていうのかな。いいとか、悪いとか、美しいってことも、商品っていうものの見る目でしかできないっていうのかな。
そういう部分が今の世の中にありますよね。だから商品としてクリアしてないと、存在できないっていうのがありますね。
今回も設計の時に、随分、私なりに苦慮したつもりですけども、ただ、今言ったように完全な商品が目的かというと、できれば商品以上のものを、やっぱりそこに人が住んでいいなという感情を残すためには、商品の規定ではできないと衣に思う。そこは体張ってやらないといけないと思ってやりました。

大川
本当最初の打ち合わせのときは、お施主さんの建替え前のご自宅は倒れちゃいそうな家でしたけど、あそこまで立派な物件になってよかったです。
お施主様にきっかけを聞いたら、やっぱり震災があったからって言ってました。建て替えようと思ったけど住宅ローンは無理だろうと思って、ほんのちょっとFPに話を聞いてみようってことがスタートだったそうです。
私としては優良なお客さんで、資産ももっていました。でも、ご年齢から考えると、確かに住宅ローンは難しい。丸山さんのおっしゃる商品としてやる以外に、手が残っていなかったんですね。

丸山
まあずいぶん年月の経った家でしたからね。 お施主さんの先代が建てられたんでしたっけ。最後のときにお施主さんが仰ってました。 この家はアパートですけども、最上階にオーナー、ご自分が住んでいるので、そういう家っていうのは普通より頑丈にできているはずですよね?って。「はいそうです。」とお答えしましたけど。

大川
まあ本当RCなので、50年~100年は大丈夫でしょう。

丸山
そうですね、いまあの事件から構造もだいぶ厳しくなりましたから。 壁厚なんかも18㎝でいいという方もいるんですけでも、20㎝にして全部、背筋も無理なくいくようにしてありますので、全部考慮してやってあります。

大川
いま、東京都の施策で木密不燃化事業がありまして、高円寺もそうなんですけども、木造の建物で古いもの、密集化しているものは、まあ震災があったとき火災がおきると延焼しやすいので、特に大和町のあたりなんかはそういうのが軒並みあるエリアなんです。今gは、千葉でもそういうのをやっていこうと思っています。クライアントには、いいものを建ててもらって、心豊かに生活していってもらいたいんですけど、人が安全で安心して生活で来て、なおかつ経済的に無理がないようにしなくては本当の意味で安心はできない。経済的な面と理想の人生設計をサポートしていく。それを私の生涯の仕事にしたいなと思っているんですよ。

丸山
なるほど。 それは素晴らしいことですね。いま話にでた、木造の密集の事ですけど、やはり日本の場合はずっとコンクリートの歴史がなくて、明治維新のときに初めてヨーロッパ型の石文化が入ってきて、コンクリートの建物が1900年前後にできて、たかだがまだ100年そこらです。そうやって日本に定着しはじめたんですけど、いかんせん、その前の建物は木造で、その後の建物も木造がおおくて、不燃とゆう観点からするとまだ歴史が浅いんですけど・・・。
一つはそうゆう文化だったからこそ、たとえば火消し隊とか、それから火をおこさないような隣組とか近隣づきあいとか、そういった人のつながりとか、近隣、町同士のつながりみたいのが非常に日本の場合は防災に一役かってる。そういうのがあると思うんですね。
そのときに、いまの建物が、コンクリートだから燃えないから、それで、人のつながりみたいのが必要ないんだって感じが多いと思うんですね。

大川
そうですね、分譲マンションとかでもコミュニティが絶えちゃっているようなところがたくさんありますし。

丸山
それこそ、一軒一軒が独立していて、事件になった時でも「隣のひとがなにやってるか気づかなかった。」という話がありますけど、日本のいい歴史っていうのかな、いいつながり、コミニュケーションを、やっぱりコンクリートで燃えないからもういらないって話じゃなくて、やっぱりその部分をもって欲しい。それがやっぱり日本流のマンションというか共同住宅じゃないかなとすごく思います。
だけど、それが実質的にどうか?いまこうそういうのをなくしちゃって考えているのに、たとえば中庭なんかつくったって、何も役に立たないんじゃないのって? それならもっとお金を抑えほうがいいんじゃないの?って言われるんです。だけど、私はやっぱり自分の小さい時の環境とかそういうのを考えると、必要なことじゃないかと思って、今回もそういう意味で建物デザインに中庭、それも自然を感じられるようなものをもってるっていうのは、果たしてそれが意味があるのかどうかっていうのはわからないけども、実質には意味がないのかもしれないけど、どうしてもそれは切り離せない。 自分の血肉みたいな部分があるんですけど、それを、やっぱり実現したいっていうのがあって、それを、今回もお施主さんはずっとご理解していただいたんじゃないかなと思います。

大川
今回のお施主さんも、どちらかというと入居者さんとのコミュニュケーションとりたがっていますね。いまそういうのを嫌う人もいるかもしれないですけど、まあ僕は、丸山先生がおっしゃったようなメッセージを作り手側から発信したほうがいいと思うんですね。
というのは、そういうコンセプトで作られていることを、映像や文章で丸山先生自身が発信していくべきだと思います。

丸山
なるほどね。 がんばらなくちゃだめですね。
あのね、また話が戻るけども、中庭一個つくるだけでも法律でいうと避難の問題。 二方向避難とるんですけども、普通はそれのために建物を囲まないで、単純に羊羹のようにして両側から逃げられるようにしているんですけど、中庭をそうするとそこに全部あつまって逃げるようになるんですよ。 そうすると、どういう風に二方向クリアするかという問題になる。ハウスメーカーさんはそんなことまでして、やらない。予算もかかるわけですよ。そんなことまでして自主的には中庭なんかつくらないのが現状ですよね。
いまでこそ大和町では簡単にああやってできてますけども、最初中庭つきのアパートやるときには、役所に一月通いましたね。
段取りとかいろいろお話して、最終的には「じゃあ日本では中庭のアパートっていうのはできないんですね。」ってところまで申し上げて実現したんですよ。

大川
木造には木造の良さがあって、郊外いって土地が広くあればいいのかもしれないですけど、東京みたく密集して過ごしていると、やっぱり火災の問題があります。 さっきいったコミュニティがなくなっていると余計、火災が起きやすいっていうのもありますね。

丸山
そうですね、さっき大川さんがいった視点からすると、わたしなりの考えだとやっぱり木造だからこそそういったコミュニュケーションの場というか、防災コミュニュケーションを兼ねた場っていうのが必要になると思いますね。特に街中では。

大川
そうですね。 うまく木造でコミュニティをとれる空間を作り、それで災害に備える場合。スクラップアンドビルドの考えでいけば、RCでやるより木造ってやったほうが経済的に有利でしょう。選択肢はまあ、人それぞれが決めることだけど。もし商品化というか、人に貸すとなった場合、こと集合住宅ってなると木造よりはRCになりますよね。

丸山
はいはい。 商品化っていうのは、いまお話でたけど難しいですね。 商品化っていうのは標準化ってことだと思うんですよ。
どこいっても同じようなものを作れるっていう事だと思うんですけど。
なかなか難しいものを含んでいますよね、手作りも含めて。

大川
それを実現するためには、経済的なものだったり構造的なものが・・・。

丸山
最後にできたものが無条件に、いいなとかきれいだと思うのは、やっぱりそういった底辺がそこに含まれていないと、絶対になんか厚化粧しただけで終わってしまう。
だからあの場合でも狭いかもしれないけど、あの空地があって、ああゆう形になるから、塔が生きているっていうかね。僕にいわせれば全部が絡んでるっていうのかな、底辺がないといいお化粧をきれいに感じないですよね。

大川
今後ああいった仕事を色々なところで、やっていきたいなと思ってます。

丸山
やっぱりそういう事をご理解してくださっている、開発者っていうかプロデューサーっていうのかな、建築のデザインっていうのはあるプロデュースの中から生まれてこそ、商品化するので、やはりプロデュースというのが一番大事なので、大川さんにはその力があると思っています。やっぱり一番大きいのはお金の問題があります。

大川
そうですね、経済的な部分は建築の土台になりますから。

丸山
結局オーナーさんも全部借入するわけじゃないですか。 お金が潤沢にあって、つくるなら別ですけど。
借入するっていうことは、社会に評価をうけて、今後何十年かお金を払うって形にならないとその建物が成立しないわけですからね。
いくら構造的に頑丈で、地震がきても壊れなくて100年もったとしても、人が住まなければ意味がないですし。
だから構造的な耐用年数というか、商業的な耐用年数っていうのがああいった建物には必要になってくると思いますね。

大川
お金が借りられるっていうのは、借金っていうと嫌な響きにとらえられる地主さん多いですけども、お金が借りられるのはステータスですからね。

丸山
そうそう。 それだけ認められたものを自分でお持ちになっていたり、住んでいるってことになりますからね。 それだけ社会にかかわって仕事をしているってことになりますからね。

大川
そうですね。そういう建物を、一つのプロジェクトとして今後も大事にやっていうきたいと思います。

丸山
なかなかこういった話はできないんですよね。 やっぱりデペロッパーさんは最初にお金ありきで、採算はじいて、デザインはこの辺にしなさいよということになるんですけど、やっぱりこれだけ話せるのは大川さんだからこそですね。
本日はとてもいいお話ができました。

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